ピラティスを始めたばかりの方は、呼吸に多くの注意が払われていることに驚くかもしれません。
私たちは日常的に無意識に呼吸をしていますが、ピラティスではこの「呼吸」に特別な意味があります。ジョセフ・ピラティスが提唱したピラティスメソッドでは、呼吸法が重要な要素として位置付けられています。
ジョセフ・ピラティス自身は、幼少期に喘息やリウマチ熱などの呼吸器疾患に悩まされていました。
そのため、彼は健康な呼吸をすることの大切さを深く理解しており、新鮮な空気を吸い込み、体内にたまった汚れた空気を排出することを推奨していました。
ピラティスのメソッドは、この「完全で深い呼吸」を通じて、身体全体の健康を促進することを目指しています。
ピラティスの呼吸法とは?

ピラティスのエクササイズでは、特定の呼吸法を用います。
コア(体幹)を安定させながら呼吸を行う「側腹部呼吸」は、一般的な日常生活で行う呼吸や、ヨガなど他の運動法で推奨される呼吸法とは異なります。
側腹部呼吸の基本
側腹部呼吸では、腹部を膨らませるのではなく、体の側面や背中に向かって息を吸い込みます。これにより、腹部を引き締めた状態を保ちながらも、必要な酸素をしっかりと体内に取り込むことが可能です。
ピラティスのエクササイズは、腹筋を内側に引き上げて「スクープ」と呼ばれる状態を作り、腰部を保護しながら動作を行います。
これにより、体幹が安定し、エクササイズを安全かつ効果的に行うことができるのです。
呼吸とエクササイズの連動
ピラティスの各エクササイズは、それぞれ呼吸パターンが異なります。
【例1】ピラティスの基本的なエクササイズ「ハンドレッド」の場合
5回のカウントで息を吸い、5回のカウントで息を吐くというリズムで行う。
→ 体にリズムを与え、エクササイズの動作がスムーズかつ効果的に行えるようになる。
【例2】「ソー」や「ショートボックス」など場合
ツイスト(体をひねる動作)の際に息を吐く。
→ 体幹の筋肉をより強く活用し、動作を安定させる。
初めてピラティスを行う際、エクササイズの動きに加え、呼吸法を習得するのは少し難しく感じるかもしれませんが、呼吸法を取り入れることで、エクササイズの効果が向上し、動作が自然とスムーズになります。
習慣として身につけば、呼吸法も自然とエクササイズに組み込まれるでしょう。
呼吸の効果を最大限に引き出すために
ピラティスでは呼吸が非常に重要ですが、呼吸に過度に集中しすぎて、エクササイズそのものの動きを妨げてしまうことは避けるべきです。
無理に「正しい」呼吸をしようとして動作が不自然になるよりも、自然な呼吸を心がける方が効果的です。
指導者によっても呼吸法の教え方には違いがあるため、特定のエクササイズにおいても異なる呼吸パターンが推奨されることがあります。
重要なのは、自分自身の体に耳を傾け、快適に呼吸しながら動作を行うことです。
正しい呼吸法を意識しつつ、エクササイズの効果を最大限に引き出すためのバランスを見つけましょう。
ピラティスの呼吸法がもたらす健康効果

- 腹筋と体幹の強化
ピラティスでは、腹筋を常に引き締めた状態で呼吸を行うため、自然と体幹の強化につながります。これにより、腰痛の予防や姿勢の改善が期待できます。 - 精神的なリラックス効果
呼吸を意識しながら行うエクササイズは、心を落ち着かせる効果があります。深い呼吸を行うことで、副交感神経が活性化され、リラックスした状態を促進します。 - 集中力の向上
呼吸に意識を集中することで、エクササイズに対する集中力も高まり、動作の正確さが向上します。これにより、エクササイズの効果がより高まるのです。 - 全身の循環改善
深い呼吸は、体内の酸素供給を促進し、血液循環を改善します。これにより、筋肉への酸素供給がスムーズになり、エクササイズの疲労感が軽減されます。 - ストレスの軽減
呼吸法を取り入れることで、日常生活におけるストレス管理がしやすくなります。特に、忙しい現代人にとって、深い呼吸を通じて心身をリラックスさせることは非常に有益です。
まとめ
ピラティスにおける呼吸法は、単なるエクササイズの一部ではなく、全身の健康をサポートする重要な要素です。
側腹部呼吸やエクササイズに合わせた呼吸パターンを取り入れることは、体幹を強化し、精神的な安定をもたらします。
初めての方でも、呼吸法を意識しながらエクササイズを続けていくことで、自然と呼吸が動作に調和し、より効果的なトレーニングが可能となります。
日常生活でも活用できるピラティスの呼吸法をぜひ試してみてください。